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エコポイント~エコ=環境ではない

「エコポイント~エコ=環境ではない」

家電製品についてのエコポイント制度というのが、本年5月からスタートしています。
電気屋さんの折り込みチラシにも、「エコポイント●●点」といった文字が躍っています。

このエコポイント制度というのは、対象家電製品を購入すると付いてくるエコポイントを環境省を通じて対象交換商品と交換できる、というものです。

しかし、このエコポイント制度、ほんとうにエコ=環境保護につながるといえるのか、大きな疑問があるようです。

まず、対象家電製品。
対象となるのは、冷蔵庫、エアコン、地上デジタル放送対応テレビ。
問題は、大型化するほど、エコポイントがたくさんついてくるので「お得!」という点です。
たとえば、テレビだと46V型以上だと36000点、26V未満だと7000点。
大型のテレビのほうがお得感があるようです。

消費電力に目を向けると、10年ほど前の29型テレビと50型プラズマワイドテレビとを比較した場合、前者が130kWh、後者が338kWh。
エコポイントのお得感につられて、大型テレビに買い替えた場合、あんまり環境保護には役立たないことになることもあります。ちなみに液晶テレビでも、46型ワイドなら251kWh。
冷蔵庫でも大型化した場合、同じようなことが言えそうです。

結局、単なる家電製品の大型化促進制度になってやしないか。


次に、対象交換商品。
エコポイントで交換できるのは、商品券やプリペイドカード、地域産品、環境配慮製品だそう。
しかし、このうちカードにはガソリン購入に使えるカードが含まれていたり、環境配慮型製品というのは全体の3%程度しかないなど、これもあまり環境保護が主眼にはなっていないようです。


こうやってみてみると、「エコポイントの『エコ』は環境保護!」と胸を張って言えないんじゃないの?って気がしてきます。

そこで政府が言うエコポイント制度の目的を見ると…、

①地球温暖化対策の推進
②経済の活性化
③地上デジタル放送対応テレビの普及促進 となっています。
地球温暖化対策推進を①に持ってきていることとは裏腹に、どうも②と③に重点があるような気がしてきます。

どこかでエコポイント制度の「エコ」はエコノミーの「エコ」とありましたが、さもありなん、という感じです。


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by lawyer-nishikawa | 2009-08-30 12:35 | 社会のこと

裁判員裁判 5~裁判で被害が広がる?

「裁判員裁判 5~裁判で被害が広がる?」

すでに強盗強姦事件などの性犯罪も裁判員裁判として予定されているようです。
ただ、この性犯罪を裁判員裁判の対象とすることについて、日弁連の犯罪被害者支援委員会などが検討している問題点で気になるものがありました。

裁判員裁判対象事件のうち、約2割が強姦致死傷罪や集団強姦致死傷罪といった性犯罪で、その数は年間500~600件ほどになると予想されているそうです。

ところで、裁判員候補者は事件関係者と利害関係があってはいけないので、選任手続きの過程で候補者に質問を行うなどして、事件と関係しないかを確認する手続きがあります。
もし、性犯罪の場合でも他の一般事件と同じように、被害者の氏名や住所を候補者に知らせて、関係があるかを尋ねる、などと言うことになった場合、被害者にとっては大変重大な事態となってしまいます。
候補者の段階では守秘義務もないので、被害者の氏名や住所をした候補者が、どこで話をしようとも守秘義務を理由に制約することはできなくなります。
現在、被害者団体などの働きかけにより、最高裁はできるだけ被害者の秘密が守られるように指導しているようですが、どこまで実効性があるのかは未知数です。

そもそも、性犯罪の被害者は事件で被害を受けるだけでなく、裁判の場でも自分の被害が晒されることによって二次被害を受けることになります。
性犯罪の裁判を経験している職業裁判官の審理でも二次被害が言われるのに、そういった経験のない裁判員による審理ならば、不用意な質問などによって、より大きな被害を被ると考えられます。
結果として、被害者が告訴を控えるなどして、認知されない事件が増えていくことも予想されます。

性犯罪がもっともプライベートな部分に被害が生じた事件であることからすれば、「民衆が参加する」裁判員裁判には馴染まないとも考えられます。

「被害者の権利」「被害者保護」というのであれば、こういった点にも目を向けて二次被害を回避するようにしていくべきでしょう。

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by lawyer-nishikawa | 2009-08-26 23:21 | 刑事事件のこと

コア鉄?~木曽森林鉄道の巻

「コア鉄?~木曽森林鉄道の巻」

きのう、少し遅い夏休みでしたが、木曽森林鉄道の保存鉄道を見に行ってきました。

森林鉄道というのは、林業で木材を山の中から切り出して運搬するために敷設された鉄道のこと。

森林鉄道の軌道幅は、ほとんどがJR在来線の1067㎜より狭いもので、762㎜というのが多かったようです(この数字は、車両製造メーカー等の推奨規格がそうだったんでしょうか)。
通常の線路幅より狭いので、ナローゲージと呼ばれることもあります。

ナローの魅力は、なんといってもその車両造型。
線路幅が狭いけれども、その上に載せる人間の大きさは変わらないので、どうしても不格好というか、アンバランスな形になってしまうようなのです。
このアンバランス感と車両のコンパクト感が面白い。

このナローゲージ、鉄道マニアのなかでも詳しい人はそれほど多くはない(と思う)ので、ナローゲージを追っかけている人は、かなりコアな鉄道マニア、コア鉄と言ってよいと思います。
自分は、自称鉄道マニアなのですが、ナローはまだまだ勉強が足りず、コア鉄の領域には入っていないようです。残念。


で、そんな森林鉄道が木曽山系一帯にも張り巡らされていた(最盛期は総延長400㎞とも!)のですが、1970年代のなかばには、時代の流れと共に全線廃線。
ただ、最近になって保存鉄道が運行されるようになり、保存車両の展示も行われているとのことで、見に行ってきたのです。

写真は、ボールドウィン社(@米国フィラデルフィア)製、B型蒸気機関車。
b0155724_9575477.jpg

木曽森林鉄道の象徴ともいえる存在です。
線路幅が狭く、アンバランスなのが分かるかと思います。
写真でしか見たことのなかった機関車にようやく出会うことができ、万感の思いでした。


ところで、木曽森林鉄道は戦前に国の営林署が敷設した鉄道だそうですが、そのほとんどは御料林=皇室財産だったようです(もちろん戦後は国有林になるのですが)。
そうすると、木曽森林鉄道が運び出していたのは皇室財産で、その財産を殖やすことに使われていたのか…。
このへんは、まだまだ研究が必要なようです。ご存知の方がおられたら、ご教授くだいさい。

また、当時の写真を見ると、あたりまえですが、山々はほとんど皆伐状態。
その後は、ヒノキやスギの人工林化…。
環境破壊最たるもので、生態系も生物多様性もあったものではありません。
鉄道がそれを支えていたというのも、鉄道マニアとしては心が痛みます。

と、鉄道マニア聖地詣が出来たのはよかったのですが、複雑な思いも抱えて帰ってきたのでした(笑)。

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by lawyer-nishikawa | 2009-08-25 09:59 | 趣味のこと

裁判員裁判 4~ウソの自白が見抜けなくなる?

「裁判員裁判 4~ウソの自白が見抜けなくなる?」

今日も裁判員裁判について。

最高裁によると、裁判員裁判においては、裁判の期間を短縮し、裁判員の負担を軽減

するため、証拠を平易化、簡略化・要約化し、厳選する必要があるとされています。
検察側は、証拠方法はベストエビデンスを厳選して請求するべきであり、証拠の総量

を可能な限り削減する必要がある、としています。

ところで、冤罪事件というものがあります。
真実は犯人ではないのに、ウソの自白をさせられたり、物的証拠を捏造されたりして、犯人に仕立て上げられ、裁判でも見抜けずに有罪が確定してしまう。
その原因の多くは、強要された自白がウソであることを見抜けなかったことにあります。

では、ウソの自白はどういう方法で見抜くのか。

いくつかありうるのですが、取り調べられている人が自白をした場合、「私は~をしました」的な文体で調書に記録されます。
この調書を丹念に洗いなおしていくのが一つの方法です。

ウソの自白ですから、何度も何度も聞かれているうちに、真犯人なら間違えようがない事実について、不自然に訂正したり、あいまいになったり明確になったりすることがあります。
いくつもの調書を読み返していくうちに、このような部分を見つけ出していき、矛盾点をあぶり出すというものです。
これは、いくつもある自白調書の全てを通読していくことでしか、見つけだすことはできません。

しかし、上記のように証拠の総量を削減し、例えば自白調書も最後に記録したものだけしか、裁判上、出てこないことになると、全ての自白調書を見ることなく判断しなければならないことになってしまいます。
もちろん、証拠の絞り込みは弁護人も参加する公判前整理手続で行われるので、問題ないのではないかとの意見もありうるとは思いますが、裁判員が実際の自白の変遷、経緯を見なくてよいのかという疑問は残ります。

証拠の平易化、簡略化・要約化に潜む、問題点の一つだと思います。

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by lawyer-nishikawa | 2009-08-22 16:08 | 刑事事件のこと

裁判員裁判について 3~ドラマのようにいかなくなる?

「裁判員裁判について 3~ドラマのようにいかなくなる?」

今回も引き続き裁判員裁判について。

刑事法廷ドラマには、証人尋問で驚愕の証言を新たに引き出したり、言い逃れできない事実を証人に突きつけて「あわわ…」とさせたりして、有利な展開に持っていくことがよくあります。
実際の裁判でも、まれにそういう展開になることがあります。

しかし、裁判員裁判になると、そんなドラマのような展開はなくなってしまいそうなのです。

裁判員裁判の場合、前回でも触れた下ごしらえに当たる公判前整理手続という制度を裁判の前に行います。
ここでは、争点整理、証拠整理とその採用の可否、審理計画の決定をします。

問題は、弁護人側もこの時点で防御方法のすべてを開示する義務が課せられるということです。

あまり
知られていないかもしれませんが、刑事事件において被告人側すなわち弁護人側が持っている有利な証拠は、検察側に比してほとんどありません。
それは、警察をも従えた巨大な検察・警察側組織に対して、弁護人側は1~2人でしかも通常事件との兼ね合いの中で弁護活動が行われる、という圧倒的な組織的活動的力量の差があるからです。

そういった大きな差があるもとで、防御方法すべての開示を迫られるわけです。

例えば、検察側証人の証言の信用性を突き崩すような、隠し玉を弁護人が持っていても、その開示を迫られる可能性があります。
当然、検察側は事前にその証人に隠し玉にあたる事実の確認を行い、事前準備をして裁判に臨むでしょう。
そうすれば、冒頭のような劇的な展開は望むべくもない…ということになるわけです。

このように見てくると、裁判員には下ごしらえをしてある程度できあがった事実だけを見てもらい、その範囲で考えてもらう、そんな方向性が見えてくるような気がします。

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by lawyer-nishikawa | 2009-08-20 09:28 | 刑事事件のこと

裁判員裁判について 2~バカにしてる?

「裁判員裁判について 2~バカにしてる?」

今回も引き続き裁判員裁判について。

最高裁によれば、裁判員裁判の審理期間は約7割の事件は3日以内に、約9割の事件は5日以内に終了するとされています。
裁判員の負担を軽減しなければならないから、だそうです。

例えば、1審だけで3年7か月、95回の審理に及んだ和歌山カレー事件のような、本格的な否認事件(犯罪事実を認めないものなど)でも同じ、だと。

それが可能なのは「核心司法」を徹底するから、と言います。
「核心司法」とは、争点を真に必要な範囲に絞り込み、証拠を裁判員が理解可能な範囲に厳選し、無駄を省いた証拠調べを実施する、だとされます。
こういった争点絞り込みや証拠の厳選は、裁判員が参加する前段階の準備手続きの中で行われることになります。


そうすると、裁判員が参加する公判段階では、争点が「真に必要な範囲」に絞られ、証拠が「厳選」された後の、いわば下ごしらえ済みの事実しか出てこないことになります。

しかし、きちんとした証拠調べや当事者の主張を聞いていない段階で、裁判員抜きで、「真」の争点を見極め、証拠を「厳選」してしまうことは、結局は職業裁判官のイニシアチブで裁判を進行させ、裁判員はお客様程度に参加してもらうことになってしまうと考えます。
「市民参加」といいながらも、「9人いる合議体にあっては広く精緻な合議を尽くすことは困難」(最高裁)だから、下ごしらえ済みの事実しか出さないという発想がうかがえます。

職業裁判官がきちんと下ごしらえをしておくから、裁判員は簡単なところだけ参加してくれればいいよと言っているようです。
なんとなく、裁判員として参加する市民を馬鹿にしたような姿勢を感じます。

もちろん、被告側としても、そんな下ごしらえを法廷以外の場で行われる訳ですから、法廷できちんとした裁判を受ける権利が制約されることになります。


たしかに、裁判員の負担軽減は必要です。
しかし、それと引き換えに、下ごしらえによる簡略化で事実が切り捨てられ、被告の権利が制約されることはあってはならないのではないか。そう感じます。

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by lawyer-nishikawa | 2009-08-18 11:25 | 刑事事件のこと

裁判員裁判について 1

「裁判員裁判について 1」

かなりのごぶさたになってしまいました。
すみません…。

この間、コメントをいただいていたidamotorsさん、江川麗子さん、レス遅くなってすみません。

いよいよ裁判員制度が始まっています。
弁護士をやっていると、この裁判員制度に賛成か反対か訊かれることがよくあります。
たしかに、裁判に市民が参加することの積極的意義はあると思います。
しかし、結論から言うと、いまの制度では問題点が多すぎて、反対、です。
ただ、即時に撤廃すべきか、いったん休止すべきかといった改善方向については、柔軟に対応すべきだと考えています。

今日は、まず「市民参加」の問題点を。

一般市民の方の裁判員制度に対する受け止めは様々です。
「絶対にやりたくない」から、「ぜひやってみたい」まで。
当然だと思います。
とりわけ、第1号事件の裁判員経験者の「本当にあの答えでよかったのか、今になって疑問や不安を感じる」という言葉にあるように、かなり重い責任を、それまで裁判にすらかかわったことのない人たちに強いるものだから、やりたくない人がいて当然だと思います。
(現在の裁判員経験者の方々が真摯に取り組まれていることには敬意を表しますが)

しかし、現在の制度は(広狭は別として)辞退自由は限定、不出頭に対しては制裁規定、選任手続きの質問を拒んだりしただけでも過料などなど…。「市民参加」を強制する内容となっています。

たしかに、裁判員としての参加が憲法上の「国民の義務」として規定されているのであれば、そのような強制もしょうがないことになります(たとえば、納税の義務など)。
しかし、裁判員としての参加義務は、憲法上、規定されていません。
なのに、参加を強制されることになっています。

例えば、ただ単に「人を裁く立場に立ちたくない」と考えている人の辞退は、認められないことになりそうです。
それは、憲法上原則として禁止される、意に反する苦役や、思想信条の自由への侵害になると思います。

このまま裁判員制度を維持するとしても、一般市民の様々な受け止めを、柔軟に反映できるような制度にしていかなければならないと考えます。
まずは、制度上きちんと広く辞退できる仕組みを創るべきでしょう。

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by lawyer-nishikawa | 2009-08-17 02:09 | 刑事事件のこと

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