不当訴訟を理由とする損害賠償請求

「不当訴訟を理由とする損害賠償請求」

このブログをお読みのみなさんには縁遠いかもしれませんが、時々、あまりにも無理筋、すなわち勝ち目のない訴訟が提起されることがあります。

弁護士ニシカワも、時々、そのような無理筋訴訟を提起された方からの依頼を受けて、訴訟遂行することがあります。
もちろん、その訴訟自体は、勝訴か勝利的和解で終わります。
相手方に勝ち目がないので、当たり前といえば当たり前ですが…。

こんな無理筋訴訟は、時に不当訴訟と呼ばれたりしますが、問題になるのは、そのような不当訴訟を提起した相手方に不当訴訟を理由に損害賠償を請求できるのか、です。

普通に考えると、勝ち目のないような訴訟を起こされて、弁護士費用はかかるし、精神的にもプレッシャーだし。
損害賠償くらい請求したい、といった状況であろうと思います。

しかし、この点についての判例、裁判例はかなり厳格なようです。

不当訴訟にあたるかの基準を示したとされる最高裁判決の内容は以下の通り。

「訴えの提起が相手方に対する違法な行為と言えるのは、
[①]当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、
[②]提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、
[③]訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる時に限られる」

うーん、かなりのハードルです。

不当訴訟として議論される場合、その類型には大きく2つあると思います。

1つは、法律上の根拠を欠くとか、訴訟制度上認められないなど、請求が認められるのはまったく無理という場合。

もう1つは、法律構成自体はありうるけれども、その事実関係では請求を認めるのは無理という場合。
後者の場合は、事実関係のあり方によって異なる、いわば程度問題の場合と言えそうです。

裁判例は、上記最高裁判決を前提に判断されています。

かなりの部分を捨象してざっくり言うならば、前者の場合には不当訴訟として損害賠償請求が認められる可能性が高いが、後者の場合にはほとんど認められていない、という感じです。

なぜ、こんなにもハードルが高いのか。

上記最高裁判決は、「裁判制度の自由な利用が著しく阻害される結果となり妥当でないから」と言ってます。
裁判を受ける権利を最大限保障する、ということですね。

たしかにその通り。

ただ、実際、当事者になってみると納得しにくい部分はありますよね…。


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by lawyer-nishikawa | 2010-06-08 23:08 | 法律のこと

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