勤務医の宿直勤務は本当に「宿直」か

「勤務医の宿直勤務は本当に『宿直』か」

前回で触れたように、病棟の勤務医においては宿直勤務、日直勤務があるそうです。

科によっても違うようですが、忙しい科においては、宿直勤務、日直勤務とも、ほとんど通常勤務と変わらない場合もあるとか。

けれども、そのような忙しさでも、給与計算上は、宿直手当や日直手当等のわずかな定額の金銭しかもらえない。

では、法律上はどのように考えるべきなのでしょうか。

この点についての、最近の注目すべき裁判例として、産科医宿日直勤務割増賃金請求訴訟というのがあります。
これは、奈良県立病院に勤務する医師が、宿日直勤務、宅直勤務について割増賃金を請求した裁判です。

ところで、本来、宿直勤務とは、その時間中、例えばかなり寝ることができるような勤務形態が想定されています。
労働基準法上は、同法41条において「断続的労働」として規定され、残業代を支払わなくとも宿直勤務に従事してもらえることになっています。

では、勤務医の宿直勤務は、すべて「断続的労働」に該当し、残業代の支払い対象にならないのか、これが上記裁判でも問題になったところです。

「断続的労働」とは、実作業が間欠的に行われ、手待ち時間の多い労働のことを言います。
ただ、この点については、医療機関が、実態は間欠的作業でもないのに、「断続的労働」として処理している例が多いとして、厚生労働省より通達が出ています(厚生労働省基発第0319007号)。
そこでは、「断続的労働」にあたる宿日直勤務とは、「当該労働者の本来業務は処理せず、構内巡視、文書・電話の収受又は非常事態に備えて待機するもの等であって常態としてほとんど労働する必要がない勤務」であると規定されています。

この定義によれば、かなりの宿直勤務は「断続的労働」であるとは言えなくなり、宿直勤務として処理してきた行為は違法であって、別途残業代を支払う必要が在ることになりそうです。
上記裁判においても、産科医のおかれている特別な事情(異常分娩の手術等も行わなければならないなど、その対応の回数や性質)をふまえ、「断続的労働」の範囲を超えるとしました。

いろんな科の置かれている現状から、それぞれ検討する余地がありそうです。

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by lawyer-nishikawa | 2009-10-09 01:46 | 病院のこと

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