人気ブログランキング | 話題のタグを見る

裁判員裁判について 3~ドラマのようにいかなくなる?

「裁判員裁判について 3~ドラマのようにいかなくなる?」

今回も引き続き裁判員裁判について。

刑事法廷ドラマには、証人尋問で驚愕の証言を新たに引き出したり、言い逃れできない事実を証人に突きつけて「あわわ…」とさせたりして、有利な展開に持っていくことがよくあります。
実際の裁判でも、まれにそういう展開になることがあります。

しかし、裁判員裁判になると、そんなドラマのような展開はなくなってしまいそうなのです。

裁判員裁判の場合、前回でも触れた下ごしらえに当たる公判前整理手続という制度を裁判の前に行います。
ここでは、争点整理、証拠整理とその採用の可否、審理計画の決定をします。

問題は、弁護人側もこの時点で防御方法のすべてを開示する義務が課せられるということです。

あまり
知られていないかもしれませんが、刑事事件において被告人側すなわち弁護人側が持っている有利な証拠は、検察側に比してほとんどありません。
それは、警察をも従えた巨大な検察・警察側組織に対して、弁護人側は1~2人でしかも通常事件との兼ね合いの中で弁護活動が行われる、という圧倒的な組織的活動的力量の差があるからです。

そういった大きな差があるもとで、防御方法すべての開示を迫られるわけです。

例えば、検察側証人の証言の信用性を突き崩すような、隠し玉を弁護人が持っていても、その開示を迫られる可能性があります。
当然、検察側は事前にその証人に隠し玉にあたる事実の確認を行い、事前準備をして裁判に臨むでしょう。
そうすれば、冒頭のような劇的な展開は望むべくもない…ということになるわけです。

このように見てくると、裁判員には下ごしらえをしてある程度できあがった事実だけを見てもらい、その範囲で考えてもらう、そんな方向性が見えてくるような気がします。

★名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちらから★
by lawyer-nishikawa | 2009-08-20 09:28 | 刑事事件のこと

弁護士ニシカワケンイチの日々~現在休止中


by lawyer-nishikawa

カテゴリ

全体
法律のこと
日々のこと
社会のこと
環境のこと
刑事事件のこと
病院のこと
経営のこと
税務のこと
趣味のこと

フォロー中のブログ

名古屋の人材育成コンサル...
和菓子屋の愉び
トンボにみせられた少年の日記

検索

以前の記事

2011年 02月
2011年 01月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月

メモ帳

ライフログ

最新のトラックバック

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧