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草なぎ氏騒動

「草なぎ氏騒動」

ごぶさたになりすみません。

今回は、草なぎ氏騒動。法律家として触れないわけにはいかないかなと(笑)。

今回の騒動は刑事手続きの観点からは、3点ほどが問題になると思います。

①逮捕は本当に必要だったのか
報道によれば、今回は現行犯逮捕。
現行犯逮捕の要件としては、犯罪がその人によって行われたことが明白であること、犯罪が逮捕直前に行われていること、そして逮捕の必要性=逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれといったことを満たす必要があります。

今回では、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれが本当にあったのかが問題だと思います。

たしかに、草なぎ氏は声をかけられた時に多少の抵抗をしたとのことですが、酔っ払いなら多少の抵抗はある訳で、逃亡のおそれとまで言えるほどのものだったのか。
任意同行として連れて行って、一晩留置場に泊まってもらうだけでもよかったのではないか。

疑問が残ります。

②家宅捜索は別件捜索ではないのか
これも報道によれば、草なぎ氏の自宅を強制捜査したのだとか。

刑事手続き上は何でもそうですが、事件単位の原則というのがありまして、ある事件についての手続きはその事件を基準として進めなければならないというものです。

だから、いわゆる別の犯罪捜査の目的で行われる別件逮捕、別件捜索などは許されないわけです。

今回の家宅捜索については、一部報道では薬物使用の疑いがあったから、とされています。
それが本当だとすれば、薬物犯罪捜査という別件目的の捜査となり、これは許されません。

公然わいせつの証拠を確保するため、というのが表向きの理由なのでしょうが、はたして現行犯で逮捕されている今回の件でその必要があるのかすら疑問です。
だとすると、別件捜索なのではないかという疑いが濃厚な気がします。

③起訴猶予は妥当か
刑事手続きでは、犯罪の嫌疑と訴訟条件(裁判するための要件みたいなもの)が備わっていても、検察官の裁量で起訴猶予(不起訴)とすることができます。

今回は起訴猶予ということなので、起訴することは可能だったけれども、裁量で取りやめたということのようです。

本人の反省、社会的制裁、被害の状況などなどを考えてみれば、当然の結論という気がします。
そもそも、このような事案で警察が事件として立件すること自体、妥当ではないように思います。

一気に書いてしまいましたが、今回の草なぎ騒動、直後の鳩山大臣による草なぎ氏批判の発言に象徴されるように、どうも政治的利用の色彩が濃いような気がしています。
ただ、この点はもう少し検証が必要だと思うので、またの機会に。

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by lawyer-nishikawa | 2009-05-03 01:07 | 社会のこと

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